胸部レントゲン撮影で放射線の影響は?被曝に関する質問にお答えします!

ラジエーションサポート松波です。今回は胸部レントゲン撮影での放射線の影響についてお話しします。

あなたは放射線の被曝に対してどのように感じていますか?

放射線は医療の現場で日常的に使われており、技術の高度化などがますます進んでいます。しかし、放射線の人体への影響に対して不安を抱えている方はたくさんいらっしゃると思います。

そこで今回は、レントゲン撮影での放射線の人体への影響や防護方法について知っていただき、施設でレントゲン撮影をすることについてスタッフや入居者の皆様に安心していただければと思います。

入居者様のご家族から質問を受けた際にも、役立てていただけると思います。

目次

胸部レントゲン撮影での放射線の影響は大丈夫?!しきい値とは!?

人体が影響を受ける放射線の量を表す単位をSv(シーベルト)といいます。

胸部レントゲン撮影では、体格にもよりますがおおよそ0.06mSv(ミリシーベルト)の放射線を被曝します。

そして人体の各臓器には、しきい値という放射線障害の生じる最小の線量があり、しきい値以上の放射線を被曝しないかぎり影響は現れません。

人体で放射線の影響を受けやすい部位は精巣なのですが、そのしきい値は150mSvのため、胸部レントゲン撮影の0.06mSvでは人体に影響する可能性はまずありません。

レントゲン撮影は短い期間に何回しても大丈夫?!

放射線は人体に蓄積することもなく消滅します。そのため、何回レントゲン撮影をしても人体に影響はありません

実は、今あなたがふれている大気中からも自然放射線という放射線を受け続けていて、これは年間で2mSvほどになります。もちろん被曝線量が低いので人体への影響はありません。

飛行機に乗ると宇宙からの放射線により、さらに被曝量が増えます。例えば東京とニューヨークを往復すると被曝量は0.2mSvほどで、これは胸部レントゲンを1枚撮影した時よりも被曝量は多いです。

いかに胸部レントゲン撮影一回の被曝量が少ないかお分りいただけたかと思います。

部屋でレントゲン撮影をした後、すぐに入室しても被曝しないの?!

先ほども触れましたが、レントゲン撮影をする際にX線装置から発生した放射線は、瞬間的にエネルギーを失って消滅します。したがって、撮影の瞬間以外ではお部屋に放射線が残ることはなく、被曝することはありません

気をつける点として、レントゲン撮影の瞬間のみX線装置から距離をとっていただくことです。放射線はX線装置からの距離の二乗分減衰する法則を持っています。

例えば、X線装置から2m離れれば放射線量は1/4に、4m離れれば1/16に、と発生源から離れるほど放射線の影響は少なくなります。実際に、2m離れた場所での放射線量は自然放射線の1時間分程度とほとんど問題にならないほど少なくなります。

施設の場合、4人部屋で移動困難な方が複数名同室の場合もあるかと思います。その場合にも、被撮影者以外の方がX線装置と2m以上の距離を保てる場合には、レントゲン撮影時に同室されていても人体に影響することはまずありません。

長くなってしまいましたが、放射線の影響についてご安心していただけましたでしょうか。弊社スタッフは鉛が入った放射線防護服を着用し、安全を確保した上で撮影をさせていただきます。

撮影に関して気になることがございましたら、遠慮なくご連絡ください。

次回の更新をお楽しみに。